※注意: 下記の施術例は個人を特定できないよう似た症状を有する複数症例の方針や施術内容を組み合わせた架空の施術例です。
1
年齢・性別 60代 女性
病院での診断 変形性膝関節症
これまでの経過
60代の頃より右ひざ痛出現、左ひざ痛も併発。
近隣の整形外科クリニックや総合病院の整形外科受診し変形性膝関節症と診断。
貼付剤と鎮痛剤で過ごしていたがここ数年、疼痛がひどく階段の乗り降りが困難となり歩行量も減少。
主治医や整形外科医からも人工関節を何度も勧められたが手術は精神的に強い抵抗感があり鍼灸院へ来院となる。
鍼灸院としての診断
左右動揺を伴う変形性膝関節症グレード4(中等度以上)
方 針
膝関節の炎症軽減、疼痛緩和、日常生活指導
※明らかに西洋医学の適応と思われる状態では患者に説明し現代医療に連携したうえで鍼灸治療は終了していく。
施術内容
・週一回の頻度での鍼灸治療を行い初回より疼痛軽減効果あり。
・疼痛部(膝蓋骨下縁、膝関節内側裂隙)への透熱灸
・ひざ関節以外の部位(大腿下部、下腿上部)への太短針置鍼
・健康指導も含めた医療カウンセリング、地域連携・紹介
施術回数・頻度・期間
週一回の頻度での鍼灸治療を行い初回より疼痛軽減効果あり。
患者とのラポールが取れた一か月後に時間を取り変形性膝関節症の治療(診療材料や手術手技の進歩、効果と体験患者の声、術後のリハビリ)について情報提供などして整形外科医師に紹介。
当院での鍼灸治療は一旦、終了とした。
施術後のケア
総合病院でのTKA(人工膝関節全置換術)を両ひざ手術を決意され20日間ほど入院。その後、外来リハビリにも積極的に励まれ現在は小旅行に出かけるほど活動範囲が広がっている。
2
病院での診断 前立腺がん(Stage T3a)
これまでの経過
2015年よりPSA値要観察となり、監視療法開始。
2023年都内の大学病院でロボット手術による前立腺全摘出を実施。
以降、骨盤底筋強化するも活動時の尿もれ多発(一回量は10cc程度)。
鍼灸院としての診断
前立腺全摘出術後の尿路障害
抑うつ状態(軽度)
方 針
中髎穴(尾てい骨にあるツボ)への置鍼、電気通電療法による尿もれ軽減
腰痛、下腹部不快感など随伴症状への標準的鍼灸治療
精神支持的介入
施術内容
・中髎穴(第3仙骨孔)へ50mmの置鍼、電気通電療法も併用
・下腹部、仙骨部への箱灸
・多裂筋置鍼、通電療法など
施術回数・頻度・期間
週1回で2か月通院で症状軽快あり。現在も隔週で継続中。
施術後のケア
骨盤底筋体操の追加指導
3
病院での診断 自律性神経障害
これまでの経過
若い頃より肩こり、冷え性、パニック障害(軽度)、天気病などあり。
いろいろなクリニック受診するが器質的障害なく、敢えて診断するならば自律神経失調症と言われてきた。
入院歴はないものの自身の身体的不調に常に悩まされている。
鍼灸院としての診断
自律神経の不調による交感神経の亢進、および健康不安
方 針
鍼灸によるノンドラッグな副交感神経系の活性化、自己治癒力の賦活、身体の健康感の再獲得
施術内容
・百会-神庭への電気通電療法
・背部兪穴を中心とした全身の灸施術による心身調整
・その時々の主訴(めまい、不眠、胃腸症状、腰痛、しびれ)などの症状緩和
・健康維持への精神的サポートど
施術回数・頻度・期間
開始当初は隔週で開始し、症状の軽快が見られてからセルフ灸など指導しながら通院頻度下げてきている。
施術後のケア
三陰交(内くるぶし上部)へのセルフ灸を指導。
隔日程度の頻度で行われているとのこと。
4
病院での診断 非特異性腰痛
これまでの経過
ひと月ほど前から歩行したり、長時間立位をとっていると股関節のあたりが重だるくなってきた。腰痛は依然よりあるがそれとは違う感じでひどいときは50mで小休止しないと歩けなくなってきた。
鍼灸院としての診断
梨状筋症候群
方 針
鍼灸による臀部深層の血流改善、リラクゼーション
施術内容
・左右の梨状筋への長針(2.5寸)を置鍼したうえで微弱電流を通電。
・その他、全身調整もふくめ背部兪穴や百会(頭頂部)、失眠(踵中央)への施灸なども実施。
施術回数・頻度・期間
先月より週1回の頻度で実施。
初回より臀部痛軽減の自覚あり、現在は歩行距離も延長中。
施術後のケア
痛みの落ち着いている時間帯でのウォーキングと梨状筋ストレッチも併せて指導している。
5
病院での診断 乳がん(StageⅣ)
これまでの経過
3年前に上記診断あり、総合病院での入院治療と外来での抗がん剤治療開始。腋窩リンパ節転移(+)
がん性の胸・背部痛のほか、抗がん剤による胃腸症状、食思不振、下肢しびれ、浮腫など全身性の不快症状あり。
鍼灸院としての診断
乳がんによる疼痛ならびに抗がん剤による副反応としての多彩な不快症状
方 針
総合病院でのがんの標準治療をしっかり継続していただきながら、緩和支持療法として鍼灸を併用。(主治医からの鍼灸併用について了承あり)
施術内容
・百会-神庭への電気通電療法
・背・背部兪穴、四肢要穴への透熱灸
・腹部・腰部への箱灸など免疫力の改善
・不快症状については現代鍼灸の標準的な鍼灸施術で対応
・健康維持への精神的サポートど
施術回数・頻度・期間
2年前より当院での鍼灸を週一回の頻度で開始。
2023年夏より症状軽快し、復職されたこともあり月二回の頻度に変更。
2024年より月一回の鍼灸施術としているが副反応も軽減しており経過良好。
施術後のケア
本人の治療意欲、鍼灸への信頼もありセルフ灸の指導希望もあり。
3年以上、ほぼ毎日お灸されている。